今回は2021年10月22日にユニバーサルスタジオジャパンで発生した停電について電力社員が解説します。
ユニバーサルスタジオジャパンで停電発生!
10月22日ユニバーサルスタジオジャパンで停電が発生しました!
※正確には、大阪府此花区・港区周辺が停電した影響でユニーバーサルスタジオジャパンも停電しました。そのため、ユニバーサルスタジオジャパンの施設のみが停電した訳ではありません。
この停電の影響により全てのアトラクションは停止。
その中で「ハリウッド・ドリーム・ザライド〜バックドロップ〜」のジェットコースター型アトラクションで、緊急停止機能が動作して35人がコースの頂上に取り残されてしまう事態が発生しました。
幸いけが人はおらず、取り残された乗客は係員さんの必死な誘導によりコース横の通路を通って安全に地上まで下りることができたとのことです。
ネットの声は・・・
ジェットコースターのコース頂上へ人が取り残されている映像のインパクトもあり、Twitterを中心にトレンド入りするなどネットでの反響は大きかったです。
他にも・・・
また、この停電に対してユニバーサルスタジオジャパンの電気設備そのものについて疑問を持つ人も一定数いました。
今回のUSJ停電について電力社員が解説!
今回の停電について、わかりやすくまとめてくれてる人がいたので紹介します。
こういう事故が報道されると、よく自家発電はどうなってるの?
— 電気保安研究家 ⚡️ (@shinpeio2) October 22, 2021
などと言われるが、そういう事ではなく、アトラクションの機器側に蓄電池など二次電池の搭載を標準化して、バッテリーで安全な位置まで移動できるようにするべきだと思う。
鉄道関連ではどんどん整備が進んでいる。
電力社員であるリケイとしてもこの内容とほぼほぼ同意見です。
わかりやすく補足をすると、ユニバーサルスタジオジャパンのような大型施設や病院・データセンターなどの重要施設はなるべく停電しないように複数回線で受電できるように設備構築するのが一般的です。
受電方式については以下の画像がわかりやすいのですが、USJは当日の状況から察するに画像の左から2番目の「本線予備線受電方式」を取っているのだと思います。(もしくは1番右の本線予備電源方式)
この「本線予備線受電方式」方式は、1つの変電所から2回線で受電しているのですが今回のような変電所単位の停電の場合はどうしようもありません。
※基本的に変電所単位の事故は停電時間の長短はありますが、上記のどの供給方式でも停電します。
停電時間としては、関西電力より最短3分、最長でも21分で復旧していることがわかります。
(出典:関西電力送配電 停電情報 2021年10月22日)
しかし、どんなに早く電気が復旧しても一度緊急停止してしまったアトラクションは点検して安全確認が取れてからでないと再稼働できないようなマニュアルになっているのでしょう。
その結果、今回のようなアトラクションのコース頂上に取り残されてしまうことになってしまったのだと思われます。
停電原因を発表!
停電発生から5日経った27日に関西電力が停電の原因を発表!
それによると原因は電力会社側のシステムの誤作動だったことがわかりました。以下の記事にシステムが誤作動した装置の解説があるので見てみましょう。
電気の周波数が大きく下がった場合、広範囲で停電が起こる。それを防ぐため、変電所には周辺で小規模な停電を起こして周波数を維持する装置がある。
朝日新聞DIGITAL USJの停電、変電所でのシステム誤作動が原因 鉄塔の工事中に
周波数が下がると大規模停電?
それになんでわざと停電を起こす装置があるの?
難しいよね。
周波数が下がると発電機が機器を守ろうと自ら停止していく。
するとさらに周波数が下がって、また発電機が停止して(このループ)
最終的には大規模停電してしまうから、わざと停電させて発電機停止を防ぐ装置だよ!
今回はこの「わざと停電を起こしてバランスを取ろうとする」装置が誤作動して停電が起きてしまったということです!
再発防止の対策案
今後の対策としてはアトラクション自体にバッテリーなどを取り付け、万が一停電が起きてしまってもお客さまを安全位置まで移動できるようにしておくのがベストですね!
自家発電設備は一度停電してから動作するものになるので、一般の店舗や照明等には有効です。現地の声で一部の照明は点灯しているとの声もあったので非常用発電機は動作していたのだと思われます。
最後に
今回の停電を受けて、今後の注目ポイントについてまとめました!
追記:2021年11月22日
関西電力が機器誤作動の原因を発表しました。
関西電力送配電株式会社の正式文書はこちらから。
電力会社が載せる正式文書は少し専門的な内容となりますので、概要のみ知りたいと言う方は下記をご覧ください。
関西電力送配電はこれまで「電力需要が供給を上回ることによって起きる広範囲での停電を防ぐため、変電所周辺で小規模な停電を起こすシステムが誤作動した」としてきましたが、11月22日に新たに発表を行い、「鉄塔工事のために一部の送電線を遮断したところ、小規模停電を起こすシステムが作動する条件と一致してしまったために作動した」と明らかにしました。
MBS USJで停電…原因判明 関西電力送配電が鉄塔工事で『条件』を満たしてしまった…
幸いにもけが人が出なかったから良かったですが、下手したらお客さんの命に関わります。そのため上記の2社についてはしっかり対応してもらいたいですね。
停電のお話について「もっと詳しく!」「こういう話は興味ある!」という人は以下の書籍を読むとさらに理解が深まります。
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